『風邪をひきやすいのはなぜ? 東洋医学の「肺」のお話』

2026年09月26日 00:11

《《 東洋医学シリーズ第9弾 》》


東洋医学が初めての方にも分かるように
ご紹介します。

【風邪をひきやすいのはなぜ? 東洋医学の「肺」のお話】


「季節の変わり目になると、
いつも風邪をひいてしまう」

「鼻水や鼻づまりが起こりやすい」

「最近、肌が乾燥しやすい」


そんなことはありませんか?


風邪と鼻と皮膚。

一見すると、
あまり関係がなさそうですよね。


でも、こうした身体の変化は、
「肺(はい)」
というひとつの働きを通して
つながっていると考えることができます。


今回は五臓の4つ目、
「肺」についてご紹介します。

【「肺」は、呼吸だけじゃない】


「肺」と聞くと、
まず思い浮かぶのは
「呼吸」ではないでしょうか?


もちろん、肺は呼吸と
深く関係しています。


でも、それだけではありません。


東洋医学でいう「肺」は、

◉ 呼吸を通して「気」に関わる
◉ 気や水分を全身へ巡らせる
◉ 鼻や皮膚と関係する
◉ 身体を外から守る働きに関係する

など、
現代医学でいう肺という臓器よりも、
ずっと広い働きを表しています。


ここから少しずつ、
呼吸・鼻・皮膚・風邪が
ひとつにつながっていきます。

【息を吸うことが「元気」とつながっている?】


私たちは毎日、
当たり前のように呼吸をしています。


東洋医学には、
「肺は気を主る」
という考え方があります。


以前の記事で、
「気」は身体を動かしたり、
身体のさまざまな働きを支えたりするもの
とご紹介しました。


その「気」を支えるうえで、
呼吸も大切だと考えます。


食べ物や飲み物から
得られるものだけでなく、

呼吸によって取り込むものも、
身体の「気」と深く関係しているんです。


つまり、
食べることは「脾」。
呼吸することは「肺」。


どちらも私たちが毎日を過ごすための
「気」を支える大切な働きです。


食べることと、呼吸すること。


あまりにも当たり前で
普段は意識しませんが、

どちらも身体を支えるために
欠かせないものなんです。

【風邪をひきやすいのも「肺」と関係する?】


ここで最初の疑問に戻ります。

なぜ、
「風邪のひきやすさ」と
「肺」が関係するのでしょうか?


ここで登場するのが、
「衛気(えき)」
という考え方です。


衛気とは、
身体の表面を巡り、

外からの影響から身体を守るものと
考えられてきました。


イメージとしては、
身体の外側を守ってくれる
“見えないバリア”
のようなものです。


そして肺は、
この衛気を身体の表面へ巡らせる働きにも
関係すると考えます。


そのため、
風邪をひきやすい、
寒さに弱い、
汗をかきやすい、

といった身体の状態を見るときにも、
「肺」はひとつの手がかりになります。


ただし、
「風邪をひきやすい=肺が悪い」
という意味ではありません。


睡眠不足や疲労、食事、生活環境など、
体調にはさまざまなものが関係しています。


ひとつの症状だけで
「肺が悪い」と判断するわけではありません。

【鼻と肺がつながっている?】


鼻水、鼻づまり、くしゃみ。


鼻の症状なのに、
なぜ「肺」なのでしょうか?


実は、
「肺は鼻に開竅(かいきょう)する」
といって、

鼻は肺と深く関係する場所と
考えられてきました。


考えてみると、
呼吸するときに
空気が最初に通る場所も鼻ですよね。


そのため鍼灸では、
鼻に症状があるから
鼻だけを見るのではなく、

呼吸の状態や冷え、汗のかき方、
体調を崩しやすいかなども
一緒に確認することがあります。


鼻だけを見るのではなく、
身体全体から鼻を考える。


これも身体を見るうえでの
大切な考え方のひとつです。

【皮膚まで「肺」と関係する?】


さらに意外なのが、
「肺と皮膚」
の関係です。


肺は、
「皮毛(ひもう)」
とも深く関係すると考えます。


皮毛とは、
皮膚や体毛など、
身体の表面を表す言葉です。


先ほど登場した「衛気」も、
身体の表面を巡ると
考えられています。


つまり、
肺・皮膚・身体を守る働き。


一見すると別々に見えるものを、
ひとつのつながりとして考えているんです。


呼吸をする肺と、
身体の表面にある皮膚。


離れた場所にあるように見えても、
身体の中では
それぞれが関わり合っていると考えます。

【肺は「水分」も巡らせている?】


肺にはもうひとつ、
意外な役割があります。


それが、
身体の水分を巡らせること。


前回の「脾」のお話では、
脾は食べ物や飲み物から
身体に必要なものを取り込み、

水分の巡りにも関係すると
ご紹介しました。


実は、その水分の巡りには
肺も関わっています。


脾が飲食物から得た水分を巡らせ、
肺もその水分を
全身へ行き渡らせる働きに関わります。


つまり、
身体の中では、

「脾は脾」
「肺は肺」

と、それぞれが別々に
働いているわけではありません。


お互いに関わりながら、
ひとつの身体を
支えているんです。

【悲しいとき、呼吸が変わる?】


五臓のお話では、
身体だけではなく、
感情との関係も大切にします。


肝は「怒」。

心は「喜」。

脾は「思」。


そして肺と関係するのが、
「悲・憂(ひ・ゆう)」
悲しみや憂いです。


強く悲しいとき。
心配事が続いているとき。


ふと気がつくと、
ため息が増えたり、
呼吸が浅くなったりすることはありませんか?


もちろん、
「悲しいから肺が悪くなる」
という単純な話ではありません。


ただ、
心の状態が呼吸に現れたり、
身体の状態が心にも影響したりする。


身体とこころを
完全に別々のものとして考えないことも、
東洋医学の特徴のひとつです。

〖最近、ちゃんと深く息をしていますか?〗


忙しい日が続くと、
知らないうちに
身体に力が入っていることがあります。


長時間スマートフォンを見る。

仕事に集中する。

考え事をする。

気がつけば肩が上がり、
呼吸も浅くなっている。


そんなときは、
一度ゆっくり息を吐いてみる。

軽く身体を動かしてみる。

しっかり睡眠をとる。

乾燥する季節には、
室内の湿度にも気を配る。


どれも特別なことではありません。


でも、
毎日の呼吸や生活環境も、
私たちの身体を支える大切なものです。

【呼吸・鼻・皮膚・風邪が、ひとつにつながる】


ここまで「肺」について見てみると、

呼吸。

鼻。

皮膚。

汗。

水分。

そして、
風邪のひきやすさ。


最初はバラバラに見えていたものが、
少しずつつながって見えてきませんか?


鍼灸でも、
鼻水が出るから鼻だけ。

咳が出るから胸だけ。


という見方だけではなく、
脈やお腹、呼吸、睡眠、汗、冷え、
食欲や日々の生活なども確認します。


そして、
「なぜ今、この人の身体に、
この症状が現れているんだろう?」
と考えていきます。


普段は意識しなくても、
私たちは一日に何度も
呼吸を繰り返しています。


あまりにも当たり前だからこそ、
少し疲れているときには、
「最近、ちゃんとゆっくり
息をできているかな?」


と、
自分の呼吸に少しだけ
目を向けてみるのもいいかもしれません。

【次回は「腎(じん)」のお話】


次回は五臓の最後、
「腎」
についてご紹介します。


「腎」と聞くと、
尿をつくる「腎臓」を
思い浮かべる方が多いと思います。


でも「腎」も、
それだけではありません。


成長、老化、骨、耳、髪。


一見すると関係のなさそうなものが、
「腎」という考え方でつながってきます。


なぜ年齢を重ねると、
耳や骨、髪にも変化が現れるのでしょうか?


次回も、
身体の中にある意外なつながりを
見ていきましょう。

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