「心」って心臓のこと?

2026年08月29日 00:00

《《 東洋医学シリーズ第7弾 》》

東洋医学が初めての方にも分かるように
ご紹介します。

【「心」って心臓のこと?】


「緊張すると、胸がドキドキする」

「心配ごとがあると、なかなか眠れない」

「嬉しいことがあると、胸がいっぱいになる」


考えてみると、不思議ですよね。


私たちは身体の中にある「心臓」と、
感情や気持ちを表す「こころ」に、
同じ「心」という字を使っています。


東洋医学でも、
この二つはまったく別のものとは
考えません。


今回は五臓のひとつ、

「心(しん)」

について、
東洋医学が初めての方にも分かるように
ご紹介します。

【東洋医学の「心」は、心臓だけじゃない】


「心」と聞けば、
まず心臓を思い浮かべますよね。


でも東洋医学の「心」は、
心臓という臓器だけを指しているわけでは
ありません。


大きく分けると、

◉「血を全身に巡らせる」

そして、

◉「こころの働きを支える」

という二つの大切な役割があると考えます。


身体を動かすことにも関わり、
眠ったり、考えたり、
感じたりすることにも関わる。 


東洋医学の「心」は、
身体とこころの両方につながる存在なんです。

【心は「血」を全身に巡らせる】


東洋医学では、

◉「心は血脈を主る」

といいます。


少し難しい言葉ですが、簡単にいうと、

『心は、
血が脈の中を巡る働きに深く関係している』

ということです。


以前ご紹介した「血」は、
身体のさまざまなところを養う
大切な存在でした。


その血が身体のすみずみまで巡ることで、
私たちの身体は養われています。


そのため心の働きが乱れると、

・動悸がする
・胸に違和感がある
・顔色が悪く感じる

などの変化が現れることがあります。


【「こころ」まで心が支えている?】


ここからが、東洋医学の面白いところです。


東洋医学には、

◉「心は神(しん)を蔵す」

という考えがあります。


「神?」


初めて聞くと、少し不思議ですよね。


ここでいう「神」は、
神様のことではありません。


意識したり、考えたり、感じたりする
「こころの働き」
のようなものです。


つまり昔の人たちは、
身体を動かす心と、
私たちの精神活動を完全に切り離して
考えてはいなかったんですね。

【心配ごとがあると眠れないのはなぜ?】


明日の仕事のこと。

今日あった嫌なこと。

これから先のこと。


布団に入って身体は休んでいるのに、
頭の中だけずっと動いている。


そんな夜はありませんか?


東洋医学では、
睡眠も「心」や「神」と
深く関係すると考えます。


心や血の状態が乱れることで、

・なかなか眠れない
・眠りが浅い
・夢をよく見る
・なんとなく落ち着かない

などがみられることがあります。


もちろん、

「眠れない=心が悪い」

という意味ではありません。


肝や脾、腎など、
ほかの臓が関係することもあります。


だから同じ「眠れない」という症状でも、

「この人は、なぜ眠れないんだろう?」

と考える。


これも東洋医学の大切なところです。

【心と「舌」がつながっている?】


さらに東洋医学では、

◉「心は舌に開竅する」

と考えます。


つまり、
心の状態を知る手がかりのひとつが舌です。


「心と舌?」


一見、まったく関係がなさそうですよね。


でも東洋医学では、
身体の中で起きていることは、
身体の外にもさまざまな形で現れると
考えます。


舌の色や状態を見るのも、そのためです。


そして心や血の状態は、
顔の色つやにも現れると
考えられてきました。


顔を見る。

舌を見る。

脈に触れる。


昔の人たちは
身体の中が直接見えないからこそ、
外に現れる小さな変化を、
とても丁寧に観察していたのかも
しれません。

【「喜び」も心と関係する?】


前回、肝と関係する感情は
「怒」
とご紹介しました。


心と関係するのは、

「喜」=喜び

です。


「喜ぶのは良いことじゃないの?」
と思いますよね。


もちろん、
喜ぶことが悪いわけではありません。


東洋医学では、
怒りや悲しみ、喜びなどの感情そのものを
悪者にするのではなく、
強すぎたり長く続いたりしたときに、
身体へ影響することがあると考えます。


人間ですから、
いろいろな感情があって当たり前です。


嬉しい日もあれば、

悲しい日もある。

不安になる日だってあります。


大切なのは、
感情をなくすことではなく、
揺れたあとに、
また自分のところへ戻ってこられる
ことなのかもしれません。

【最近、「こころ」まで休めていますか?】


身体が疲れれば、

「今日は早く寝よう」

「少し休もう」

と思います。


でも、
こころの疲れは少し気づきにくいものです。


身体はソファに座っているのに、
頭の中では仕事のことを考えている。


布団に入っているのに、
スマートフォンを見続けている。


何もしていないのに、
なぜか休んだ気がしない。


そんなこともありますよね。


ゆっくりお風呂に入る。

好きな音楽を聴く。

誰かと穏やかに話す。

何も考えず、ぼーっとする。


そんな時間も、
身体を整えるための大切な時間です。


身体を休ませることと、
こころを休ませること。


似ているようで、
少し違うのかもしれません。

【身体とこころを、ひとつながりに見る】


東洋医学の「心」を知ると、

動悸、睡眠、感情、舌、顔色。


一見バラバラに見えるものが、
少しずつつながって見えてきます。


だから鍼灸でも、
症状がある場所だけを見るのではなく、
脈やお腹、睡眠、食欲、日々の生活なども
確認します。


そして、

「なぜ今、この人の身体に、
この症状が現れているんだろう?」

と考えていきます。


身体だけを見るのでもなく、

こころだけを見るのでもなく、

その人全体を見る。


東洋医学が
昔から大切にしてきたことのひとつです。

【次回は「脾(ひ)」のお話】


次回は五臓の3つ目、

「脾って脾臓のこと?」

についてご紹介します。


東洋医学の「脾」は、
食べたものから身体を養うものを生み出す、
大切な存在です。


でも不思議なのは、

食欲が落ちる、
疲れる、
身体が重い、
むくむ。


一見違うように見えるこれらの不調が、
東洋医学では
「脾」
を通してつながってくること。


次回も、
身体の中にある意外なつながりを
見ていきましょう。


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