東洋医学が初めての方にも分かるように
ご紹介します。
「最近、なんだかイライラする…」
「ストレスが溜まると、身体までガチガチになる」
「目が疲れやすい」
一見すると、
まったく別の不調に見えますよね。
でも東洋医学では、
これらの症状に「肝(かん)」
が関係していることがあります。
「肝って、肝臓のことでしょ?」
と思った方も多いはず。
実は東洋医学の
「肝」は、
肝臓そのものだけではなく、
身体のさまざまな働きをまとめた
考え方なんです。
今回は五臓のひとつ、
「肝」についてご紹介します。
東洋医学の肝には、
身体の「巡りをスムーズにする」
という大切な働きがあります。
これを少し難しい言葉で、
◉「疏泄(そせつ)」
といいます。
例えば
川の水が気持ちよく流れているように、
身体の「気」も
のびのびと巡っていることが大切です。
肝は、
その流れが滞らないように
調節する役割を担っていると考えます。
そのため肝の働きが乱れると、
・イライラする
・気分が落ち込みやすい
・胸や脇が張る
・お腹が張る
・ため息が増える
などの変化が現れることがあります。
特にストレスと関係が深いのが
肝の特徴です。
「嫌なことがあってから、
身体までなんとなく調子が悪い」
そんな心と身体のつながりも、
東洋医学では大切なサインとして考えます。
もうひとつ大切なのが、
◉「肝は血を蔵す(蔵血:ぞうけつ)」
という考え方です。
東洋医学では、
肝には血を蓄え、
身体の状態に応じて必要なところへ
行き渡るよう支える働きがあると考えます。
身体を動かすときには
筋肉や目などにも血が必要になりますし、
休んでいるときには必要量も変わります。
つまり肝は、
「血を必要なところで使えるように支える」
存在でもあるんですね。
この働きが乱れると、
・目が疲れやすい
・筋肉がつりやすい
・手足がしびれる
・月経に関する不調
などにつながることがあります。
ここからが東洋医学の面白いところです。
東洋医学には、
「肝は目に開竅(かいきょう)する」
という考え方があります。
簡単にいうと、
肝の状態は目に現れやすいということ。
そのため、
・目が疲れる
・目が乾く
・かすみやすい
・見えにくく感じる
といった症状があるとき、
東洋医学では目だけではなく、
肝や血の状態も一緒に考えることが
あります。
もちろん、
「目が疲れる=必ず肝が悪い」
という意味ではありません。
一つの症状だけで決めつけず、
身体全体から原因を探していくのが東洋医学です。
さらに肝は、
筋(すじ)とも関係が深いと
考えられています。
ここでいう「筋」は、
身体を動かす筋肉や腱などの働きまで
含めたイメージです。
そのため肝や血の働きが十分でなくなると、
・筋肉がこわばる
・足がつる
・身体が動かしにくい
などがみられることがあります。
そして東洋医学では、
爪も肝との関係が深い場所とされています。
目、筋、爪。
現代医学では別々に見えるものを、
「肝と血」
という共通点からつなげて考える。
こういうところが
東洋医学の面白さのひとつです。
五臓には、
それぞれ関係が深いとされる感情があります。
肝と関係するのは、
「怒(ど)」=怒り
です。
これは、
「怒りっぽい人は肝が悪い!」
という意味ではありません。
強いストレスや怒りが続けば
肝の働きに影響し、
反対に肝の働きが乱れていると、
イライラしたり気持ちが落ち着きにくく
なったりすることがある、
と東洋医学では考えます。
つまり東洋医学では、
身体の状態が心に影響し、
心の状態も身体に影響する。
心と身体を完全に切り離さずに
考えているんですね。
肝の大切な働きをまとめると、
① 気をのびのび巡らせる
② 血を蓄え、必要なところで使えるよう支える
この2つが大きなポイントです。
そのため肝の働きが乱れると、
・イライラする
・ため息が増える
・胸や脇、お腹が張る
・目が疲れやすい
・筋肉がこわばる、つる
・月経に関する不調
など、
一見バラバラに見える症状が
一緒に現れることがあります。
ここで、
「全部、肝なんだ!」
と決めつけないことも大切です。
東洋医学では、
肝だけでなく心・脾・肺・腎や、
気・血・津液との関係まで考えながら
身体をみていきます。
肝が得意なのは、
「のびのびと巡らせること」
です。
そのため、
毎日の生活でも「溜め込みすぎない」
ことを意識してみましょう。
軽く身体を動かしたり、
ストレッチをしたり、
ゆっくり深呼吸したり。
好きなことをして気分転換するのも
いいですね。
そして、しっかり休むことも大切です。
東洋医学では
身体を動かすことだけでなく、
休むことで血を養うことも大切に考えます。
頑張り続けるだけではなく、
「動く」と「休む」のバランスをとる。
これも立派な養生です。
☑ 最近イライラしやすい
☑ ストレスを溜め込みやすい
☑ ため息が増えた
☑ 目が疲れやすい
☑ 筋肉がこわばったり、つったりする
☑ 胸や脇が張る感じがする
いくつか当てはまりましたか?
ただし、
これは病気を診断するための
チェックリストではありません。
東洋医学では、
一つひとつの症状を
バラバラに見るのではなく、
「なぜ、この人に
この症状が一緒に現れているんだろう?」
と身体全体をつなげて考えます。
鍼灸でも、
症状だけでなく脈やお腹、
睡眠、食欲、排泄、冷え、
日頃の生活などを確認しながら、
その方に合った治療を考えていきます。
次回は五臓の2つ目、
「心」
についてご紹介します。
「心臓だから血液の話?」
もちろん、それも関係します。
でも東洋医学の心には、
もうひとつとても面白い働きがあります。
それが、
「神(しん)を蔵す」
という考え方。
なぜ東洋医学では、
心臓と眠りや精神・意識まで
つなげて考えるのでしょうか?
次回も、
東洋医学が初めての方にも分かるように
ご紹介します!