東洋医学が初めての方にも分かるように
ご紹介します。
「腎」と聞くと、
まず思い浮かぶのは
「腎臓」ではないでしょうか?
もちろん、
腎臓と関係する考え方もあります。
でも、
東洋医学でいう「腎」は、
それだけではありません。
成長。
老化。
骨。
耳。
髪。
腰。
そして、生まれ持った生命力。
一見すると、
あまり関係がなさそうですよね。
でも、こうした身体の変化は、
「腎(じん)」
というひとつの働きの中で
つながっていると考えます。
今回は五臓シリーズ最後となる、
「腎」についてご紹介します。
東洋医学では、
「腎」は
人の成長や発育、老化と
深く関係すると考えます。
子どもが成長していくこと。
大人になって身体が成熟すること。
そして年齢とともに、
少しずつ身体が変化していくこと。
こうした流れの背景に、
「腎精(じんせい)」
という考え方があります。
腎精とは、
身体を成長させたり、
生命活動を支えたりするための
「身体の土台になる力」
のようなものです。
もちろん、
目で見ることができるものではありません。
でも昔の人は、
人が生まれ、成長し、年齢とともに
変化していく姿を見ながら、
その根っこにあるものを
「腎」という言葉で
表したのかもしれません。
東洋医学には、
「腎は骨を主る」
という考え方があります。
つまり、
腎は骨の成長や丈夫さと
深く関係すると考えられてきました。
年齢を重ねると、
骨が弱くなったり、
足腰に力が入りにくくなったりすることが
ありますよね。
こうした変化も、
「腎」の働きが少しずつ弱くなっていく
流れの中で考えることがあります。
もちろん、
骨の状態には
栄養や運動、ホルモンなど
さまざまな要素が関係しています。
ただ、
「年齢とともに骨が変化していく」
という身体の流れを、
昔の人は腎とのつながりとして
見ていたんです。
さらに意外なのが、
「腎と耳」
の関係です。
東洋医学では、
「腎は耳に開竅(かいきょう)する」
と考えます。
そのため、
耳鳴り。
耳の聞こえにくさ。
耳のつまり感。
などを見るときに、
「腎」の状態をひとつの手がかり
として考えることがあります。
ただし、
耳の症状=すべて腎
という意味ではありません。
耳は、
肝や脾、気血、水分の巡りなど、
ほかの状態とも関係します。
以前の記事でもお話ししたように、
東洋医学では
ひとつの症状だけを見て決めるのではなく、
身体全体の状態を見ながら考えていきます。
年齢を重ねると、
髪が細くなったり、
白髪が増えたり、
抜け毛が気になったりすることがあります。
東洋医学では、
こうした髪の変化にも
「腎」が関係すると考えます。
髪は、
身体の中にある
「精」や「血」の状態が
表れやすい場所のひとつとされてきました。
そのため、
身体が疲れているとき。
年齢による変化が出てきたとき。
無理が続いているとき。
髪の変化も、
身体からの小さなサインとして
見ることがあります。
「髪だけの問題」
と考えるのではなく、
身体全体の状態の一部として見る。
これも東洋医学らしい考え方です。
そして、
「腎」と深く関係する場所として
もうひとつ大切なのが、
腰です。
東洋医学には、
「腰は腎の府」
という言葉があります。
「府」とは、
集まる場所、
関係の深い場所という意味です。
そのため、
腰のだるさ。
腰に力が入りにくい。
疲れると腰が重くなる。
年齢とともに足腰が弱くなってきた。
そんな状態を見るときに、
「腎」の状態も
ひとつの手がかりとして考えます。
もちろん、
腰痛の原因が
すべて腎にあるということではありません。
筋肉の緊張。
姿勢。
疲労。
関節や神経の問題など、
腰痛にはさまざまな原因があります。
でも、
「年齢とともに腰が弱ってきた」
という身体の変化を、
東洋医学では
腎とのつながりの中で
見ることがあるんです。
腎の働きをイメージするとき、
「生命力の貯金箱」
のように考えると、
少し分かりやすいかもしれません。
生まれ持ったもの。
食事や睡眠から補っていくもの。
日々の生活の中で
少しずつ使っていくもの。
昔の人は、
そうした身体の力を
「腎精」という言葉で考えていました。
だから、
無理が長く続く。
睡眠不足が続く。
疲れているのに休まない。
そんな生活が続くと、
身体の土台も
少しずつ消耗していくと考えます。
もちろん、
「寝不足だからすぐ腎が悪くなる」
という単純な話ではありません。
ただ、
身体には
限りなく使える力があるわけではない。
という考え方は、
今の生活にも
どこか通じるところがあるように思います。
特別なことをする必要はありません。
まずは、
しっかり眠る。
無理を続けすぎない。
冷えすぎないようにする。
適度に身体を動かす。
食事をなるべく整える。
どれも、
当たり前のようなことですよね。
でも、
身体の土台を守るために大切なのは、
こうした日々の積み重ねです。
疲れているのに
「まだ大丈夫」と頑張りすぎる。
休むことを
後回しにしてしまう。
そんなときほど、
少しだけ身体の声に
耳を傾けてみてもいいかもしれません。
ここまで「腎」について見てみると、
成長。
老化。
骨。
耳。
髪。
腰。
最初はバラバラに見えていたものが、
少しずつ
つながって見えてきませんか?
東洋医学では、
ひとつの症状だけを見るのではなく、
その人の身体全体を見ながら、
「なぜ今、この変化が出ているのだろう?」
と考えていきます。
耳が気になるから耳だけ。
腰が痛いから腰だけ。
髪が気になるから髪だけ。
ではなく、
身体の中で起きていることを
ひとつの流れとして見る。
それが、
東洋医学の身体の見方のひとつです。
これまで、
肝。
心。
脾。
肺。
腎。
と、
五臓をひとつずつご紹介してきました。
でも、
五臓はそれぞれが
別々に働いているわけではありません。
肝が巡らせる。
心が血を動かす。
脾が身体を養う。
肺が気や水分を巡らせる。
腎が身体の土台を支える。
それぞれが、
お互いに助け合いながら
ひとつの身体をつくっています。
だから、
ひとつの不調だけを見ていても、
本当の身体の状態は
分からないことがあります。
身体は、
思っているよりずっと
つながっているんですね。
年齢を重ねることは、
悪いことではありません。
身体が変化していくのは、
とても自然なことです。
ただ、
「最近、少し疲れやすくなったな」
「腰が弱くなってきた気がする」
「耳や髪の変化が気になる」
そんな小さな変化に気づいたとき、
それをただ年齢のせいにするのではなく、
一度、
自分の身体に目を向けてみる。
そんな時間があってもいいのかもしれません。
当院では、
症状のある場所だけを見るのではなく、
脈やお腹、
冷え、疲れ方、睡眠
なども確認しながら、
身体全体の状態を見て施術を行っています。
腰のだるさや耳の不調、
疲れやすさなど、
気になる症状がございましたら、
お気軽にご相談ください。