前回の“春”に続き、
今回は国民の4人に1人は苦しめられていると言われ
大人なら誰でも一度はこの痛みを経験した事があると思われる
“頭痛” をテーマにしてみました!
頭痛には種類があり原因も様々なので
間違った対処をしてしまうと症状がより悪化してしまう恐れがあります。
ご自身の頭痛が何頭痛なのかを理解し
正しい対処法を身につけていただけたらと思い選びました。
今回は東洋医学の“経絡(ケイラク)”から診る
頭痛の発生部位に分けた症状の特徴や原因を
わかりやすくご説明したいと思います。
ここで出てくる“経絡”の説明をしたいのですが
まず西洋医学は
“科学的に身体の各部分や機能の働きを解明し、病気の原因を特定して治療する”ものであり、
東洋医学は
“身体と心のバランスや調和を重視し、気・血・津液の流れの不調和を整わせる”ものです。
東洋医学ではこの気、血、津液(シンエキ:血以外の水分)が
身体のすみずみをバランスよく循環している状態を健康といい、
身体の組織や器官に気、血、津液を行き渡らせることが“経絡”の役割です。
逆に“経絡”の中で気や血が停滞したり、過不足が起こると身体の変調に繋がります。
“経絡”とは東洋医学の根幹をなすものなので、
鍼灸医学においては診断と治療に深く関わる重要なものです。
また別の機会に“経絡”については深く解説していきたいと思うので
今回はこの経絡から診た頭痛の発生と原因を説明したいと思います。
◉前頭部痛
前頭部は経絡でいう、“胃経”がめぐる部位です。
消化器系との関連が深いため
体調不良による胃下垂の悪化や、飲食の不摂生による胃部の不快感、
ストレスによる胃炎、食道への胃酸の逆流、ガスによる胃部膨満
などの症状とセットで前頭部痛が発症することが多いです。
胃の炎症などにより胃部に熱がこもっているので
その熱が上に昇り、経絡上の前頭部に痛みが出ているということです。
原因としてはやはり暴飲暴食やストレスによる胃の負担が考えられるので
胃と心を休ませてあげることが大切です。
◉後頭部痛
後頭部痛は、“膀胱経”がめぐる部位です。
背中や首の筋肉の引き攣りとの関連が深く
目・鼻・咽喉の症状の影響も強く受けるので、
パソコン作業による眼精疲労、
花粉症・慢性副鼻腔炎による鼻の奥の症状、
咽喉の痛みなどとセットで発症することが多いです。
原因としては
寒気や冷房による冷え、肩背部の筋肉の疲労、
ウイルスや細菌の侵入による鼻・咽喉の炎症などが考えられます。
大半の後頭部痛の方は緊張性頭痛によるものであり
首や肩のコリが原因であることが多いため
運動により筋肉を動かしてあげることや温めること、
身体の緊張を緩めリラックスさせてあげることが大切です。
◉側頭部痛
側頭部は、“胆経”がめぐる部位です。
首や肩の側部の強張りや、耳や歯の症状に関連が深いため
胃の弱い人は左の首・肩がコリやすく、
その状態で冷えたり重いものを持つことや、目を酷使したり、鼻・咽喉の炎症が加わると
左側の側頭部痛(片頭痛)が発症します。
あるいは、
ストレスを強く受けると肝臓周囲に熱がこもり、右の背中や首・肩がコリやすく、
この状態が慢性的に持続すると右側の側頭部痛(片頭痛)が発症します。
また側頭部痛は耳に関連する症状を引き起こしやすく、
自分の声が反響し音が聞こえづらくなる耳管狭窄症や
めまい、耳鳴りを伴うケースが多くみられます。
また歯に関連するケースとして
歯茎の炎症や顎関節症、噛み合わせ療法の不良状態による
側頭筋の引き攣り痛が起こることもあります。
西洋医学的に片頭痛は
緊張状態からの解放により頭蓋内血管が拡張し、
その拍動が血管周囲の三叉神経を刺激して発症するとされるので
血流が促進してしまうこと(入浴、マッサージ、アルコールなど)は
症状を悪化させてしまうため、
適度な緊張やカフェインの摂取、患部を冷やすなどが効果的です。
また片頭痛は光・音・臭いにも過敏に反応してしまうため
発症時は暗く静かなところで安静に過ごすように心がけましょう。
◉頭頂部痛
頭頂部は、“肝経”のラインが上行した末端部位にあたります。
頭頂部痛だけが起こることは稀ですが、
イライラして気が高ぶったり、気の滞った状態が限界に達すると、
頭頂部周辺の帽状腱膜の筋緊張が強くなり痛みを発症します。
後頭部の筋緊張が慢性的に強い場合は、
頭頂部周囲に鬱血して頭痛になることもあります。
以上が経絡に分けた頭痛の簡単な解説となりますが
ご自身に当てはまる症状はありましたでしょうか?
養生のアドバイスとしては
頭痛が慢性的に起こりやすい方は、
生活習慣や生活リズムの見直しが不可欠です。
また原因としてストレスや緊張がとても大きいため、
軽い運動や自分に合ったリラックス法を見つけることがとても大切です。
片頭痛の方はチョコレートや赤ワイン、チーズなどは
症状を悪化させてしまうため注意が必要です。
寒暖差が大きくなる季節の変わり目の時期には
冷えによる首・肩の強張りや鼻・咽頭の炎症も起こりやすいので
予防と健康管理を心がけましょう!!
今回は“頭痛”を経絡の側面からお伝えしました。
聞き馴染みのない言葉などが多くて理解しにくいところも多々あったと思いますが
少しでも頭痛に悩まれている方の参考になれば嬉しいです。
ご覧いただきありがとうございました。
“頭痛”にお悩みの方はお気軽にご質問やご相談ください。
ぜひ、お待ちしております。